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マレーシア・ジャングル放浪記inタマンネガラ⑫

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3月15日続き
◇テイオウゼミの豪雨警報
この日の夕食時のレストラン。日没の直前になって、突如大音響の空襲警報が鳴り響く。「ブワーン・ワーン・ワーン」。何事だ。客の間に緊張が走る。
しかし、昆虫記者は落ち着き払ってニヤリと笑う。テイオウゼミの仲間の鳴き声だと分かっていたからだ。高い木の上から、響いてくるすさまじい音。昨晩電灯の下にたくさんいた巨大なセミが、声の主だろう。キャメロンハイランドなどの高原に多い世界最大のセミである本家テイオウゼミよりは、やや小ぶりではあるものの、それでも日本のクマゼミなどと比べれば相当に巨大だ。
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 テイオウゼミの仲間だろう。本家テイオウゼミと比べるとかなり小さいが、その声の大きさはすさまじい。テイオウゼミは夕方にブワーン、ワン、ワンと、人工的な大音響で鳴く。

テイオウゼミを知らない人は、その声をスピーカーの大音響と思うに違いない。そして、そのサイレンの直後に雨が降りだしたのだ。まるでテイオウゼミの鳴き声が大雨警報であったかのように。

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 こちらが、キャメロンハイランドやフレーザーズヒルに多い本家テイオウゼミ。世界最大のセミだ。オオカブト並みの迫力がある。

稲妻が光り、雷鳴がとどろく。そして土砂降りの雨。レストランの外は、ナイアガラの滝になった。屋根のひさしからは、まさに滝のように水が流れ落ちる。外のテーブルに残されていたコップには、すぐに5センチほど雨水がたまった。1時間100ミリ以上の雨だろう。激しい雨音で会話もほとんど聞き取れない。
空の上にこれほどの量の水があるなんて、考えられない。上昇気流とか、湿った空気とか、不安定な大気とか、豪雨の際の気象予報士の説明はなんとなく分かるのだが、実感はやはり、空の上で「バケツをひっくり返した」という言葉そのものだ。
だれもレストランから外へでることはできない。新しい客も来ない。そんな状況が2~3時間も続いた。
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ホテルスタッフによって、レストランに大量の傘が運び込まれる。少し小降りになった時間帯に、その傘を借りて、無事ロッジに。
と思ったが、全然無事ではなかった。ロッジを目前にして気が緩んだのだろう。歩道脇のぬかるみに足をとられて、見事にひっくり返った。服はビショビショ、ドロドロである。幸い大けがはなかったが、これでまた、洗濯の手間が増えた。
 悲しい深夜の洗濯を終えた後も豪雨は続く。テレビを見ながら眠ろうとするが、なかなか眠れない。
 
◇ついに恐れていたものが
 ちょっとうとうとしたと思ったら、午前4時ごろ、激しい雨音でまた目が覚めた。もう7~8時間降り続いていることになる。最初はただの夕立だと思ったのだ。「夕立は夜にはやむものだろ。もうすぐ朝だぞ。このままだと、朝立ちになっちゃうじゃないか」。
ついに恐れていたものが、やってきたのだ。夜が明けてもこのまま豪雨が続いていたら、水の都が陸の孤島と化すだろう。たとえ数日後に救助されたとしても、週明けの出社は不可能で、「虫撮りなんぞで、仕事に穴を開けるとは何事だ」と幹部に叱責され、減給、出勤停止などの懲罰が下るだろう。
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 色々なセミが雨宿りにやってくる。

 タマンネガラの魅力は何と言っても、水辺だ。密林のリゾートホテル「ムティアラ・タマンネガラ」はテンベリン川とその支流のタハン川に囲まれている。クアラタハンの村からテンベリン川を船で渡らないと、たどり着けないのだ。
まさに水の都、水に囲まれた昆虫パラダイス。ジャングルのベニスと呼んでもいい。しかし、水の都は常に水に脅かされているのだ。本家イタリアのベニス(ベネチア)も、最近は頻繁に水没しているらしい。水没は水の都の宿命なのだ。2014年12月には、ほぼ1カ月間、洪水でタマンネガラへの交通が途絶し、100人以上の観光客、スタッフが孤立。救出のため、ヘリが出動したという。
ここの雨期の危険は半端ではない。映画やドラマなら、ポテトチップスでも食べながら、手に汗握って観ていればいいが、実際にその場に立たされる身にとっては、生きるか死ぬかの分かれ目である。
ムティアラはその後も頻繁に洪水の被害に見舞われているようで、「修復作業のためしばし閉館しておりましたが、3月1日にリオーブンします」なんてお知らせを出した年もあった。冬休みの宿泊を予約していたら、宿が閉鎖なんていう、最悪の事態もあり得るのである。
「それでもまあ、毎年閉鎖ってことはないだろうから、今年は大丈夫だろう」なんて考えていたら甘い、甘い。18年もやはり、1月の2日に閉鎖されて、7日に再開されている。
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 キリギリスの仲間も、屋根の下に避難。

ネット上には、「予約していたのに閉鎖。どうしよう。代金は戻ってくるけれど、今から目的地を変更しないといけない。どこかいいところないでしょうか」なんていう情けないコメントも。それでも、事前にキャンセルできたら、まだましだ。到着してから、閉鎖だったら「もう最悪」って感じになる。救助を待つだけで、休暇が終わる。救助されればいいが、流されちゃったら、「参った、参った」なんて、のんきにぼやくことすらできない。
テンベリン川を渡れなくなったら、ムティアラは文字通り陸の孤島である。「母危篤、すぐ帰れ」とか連絡がきたら、激流に飛び込んで命を落とすか、反対方向のジャングルに突き進んで、永遠の行方不明者になるかである。
そこまで劇的な、パニック映画的な展開にならない場合でも、雨期にタマンネガラを訪れた観光客のコメントは暗い。
ただただ狭いシャレーに閉じ込められて、「どこも行くところがない、何もすることがない」。「森を歩いたり、吊り橋を渡ったり、川下りをしたり、泳いだり、そんな普段のアトラクションは何もできない。ホテル側は、別の楽しみ方を考えてなどくれない」。
都会ではないから、ここにはショッピングセンターも飲食店街も、映画館も、ナイトスポットもないのである。
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 奇抜な姿のギンモンスズメモドキ。

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 「色とりどりの蛾が逃げ込んできて雨の夜もけっこう楽しい」なんて言ってられたのは最初のうちだけ。次第に恐怖が支配する世界になった。

◇豪雨のベランダでも虫を撮る
 ともかく、普通の危険回避本能のある人間ならば、10月から2月初めまでの雨期のタマンネガラ訪問は避けたいと考えるだろう。熱帯には季節がないなんていう嘘っぱちを信じて、冬休みにタマンネガラに行こうなんて考えている人がもしもいたら、「命がけの濁流下りが趣味なら、行ってみたら」と、一応忠告しておきたい。
濁流に飲まれて命を落としては、昆虫記者の名折れだ。水辺の緑の楽園と言えば、聞こえはいいが、水浸しとか、ビチョビチョとか、ぬかるみとか表現すると、行きたくなくなる。洪水とか、水難事故とか聞くと、絶対行きたくなくなる。
 
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 緑色のゲジゲジが逃げ込んできたと思ったら、動きがどうも毛虫くさい。恐らくイナズマチョウの仲間の幼虫だろう。壁にとまっていると毒々しく、目立つ姿だが、これが葉っぱの中心にいると、トゲトゲとブラシのような毛が葉脈のように見えて、ドロンと姿を消してしまうらしい。

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 ちょっと刺激して顔を上げさせてみた。やっぱりゲジゲジではなくて、芋虫だった。

雨が嫌だから、今回の旅は3月後半にしたのである。3月はドライなシーズンとされている。あまり乾燥が続くと虫は少なくなるが、3月ならまだ雨期の名残があり、ジャングルは虫が育つのに良好な環境に違いない。その上、長い雨期の間、レジャーに、デートに出かけたくてウズウズシテいた虫たちが、一斉に飛び出してくるのではないか。そんな妄想が頭の中で渦巻いていたのだ。
そして今、ロッジの屋根にザーザーと豪雨が降り注いている。「雨季にタマンネガラに行くなんて、ばっかじゃないの」とか言って、雨季に出かけたチャレンジャーたちの悲惨な境遇に、「他人の不幸は蜜の味」を感じていたのがいけなかった。「人を呪わば穴二つ」。雨季のジャングルで恐怖のどん底に突き落とされた人々の恨みの涙が、昨夜からの豪雨に姿を変えて、昆虫記者を押し流そうとしているのだ。
運勢は下り坂である。給料や体力は、雪崩のような急激な下り坂。腹の調子も何だかおかしい。世の中すべてが、シンクロして下り坂になりつつあるようだ。
窓から雨の降り続く外を眺める。ベランダの天井に灯った明かりに、蝶が来ていた。豪雨の森から避難してきたのだろう。イワサキコノハのようだ。一応写真を撮る。
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森の動物たちは、どうやって、豪雨をしのいでいるのだろうと心配になる。しかし、動物のことを心配している場合ではない。自分の身を心配しなければ。サルの群れが、ベランダに避難してきたら、それは、それは恐ろしいことになるではないか。やはり動物はジャングルから出てきてはいけない。動物の心配などしてはいけない。
こんな時に、虫の写真を撮っているなんて、「馬鹿じゃないの」と思う人もいるだろう。しかし、たとえロッジが洪水で流されようとも、そこに虫がいれば撮る。それぞ昆虫記者魂だ。
大雨の日に、田んぼや畑の様子を見に行って、用水路に流されたという人の話は、ニュースなどでよく耳にする。そんな時、なんでそんな馬鹿なまねをしたんだろうと思う。もし、ここで昆虫記者が流されていたら、全く比較ならないほど、「馬鹿、馬鹿、大馬鹿だよねー」ということになっていただろう。

葛西臨海公園で「東京の虫風景」に挑戦

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 夏も終わりかけた8月末、葛西臨海公園で「東京の虫風景」写真に挑戦してきました。

 まずは単なる風景写真。園内周遊のパークトレインですね。観覧車と組み合わせることで、葛西臨海公園の写真であることをアピールします。
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 そして、観覧車とアゲハチョウ。相手が飛び回る蝶なので、狙い通りの写真はなかなか撮れないものですね。
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 アブラゼミと観覧車。セミは動かないので、難易度は蝶より低いです。でもいい所にセミがとまっていてくれるかどうかは、セミの気分次第。
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 ミノムシと虫捕り少年です。ちょうどミノムシが糸を吐きながらブランブランと下りてきたので、チャンスと思ったのですが、構図的にはもう少し下まで降りてきてほしいところです。
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 葛西で「東京の虫風景」らしい写真が撮れたのはこれだけでしたが、ついでに人間の生活に深くかかわってきた虫を見つけました。イボタロウムシです。

 イボタの木に寄生するカイガラムシの仲間で、♂の集団が出すこの白いロウ物質を精製してイボタロウを作ります。イボタロウは、現在でもろうそくの原料や、家具の艶出しに使われているようです。
 全然昆虫にはみえないですね。♂の幼虫はこの白い塊の下にいるらしいです。
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 ♀はボール状。たぶんこれが♀です。これまた全然虫には見えません。
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 あとはただの虫です。シラホシカメムシの仲間。かわいいので、ただの虫でも許してやってください。
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 クマゼミ見納め。高い枝先にいることが多いので、歩道橋の上から探して、正面から撮ることができました。
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ツマグロヒョウモンvsカバマダラ

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 若かりし頃、ツマグロヒョウモンの♀を初めて見つけて、「な、な、なんでカバマダラがこんなところにいるのか」と、興奮して虫捕り網を手にしたことがありました。
 そのころ、もともと南方の蝶であるツマグロヒョウモンの姿は、関東にはまだほとんどなかったのです。びっくりしますよね。見たことのない蝶が、それも南国のカバマダラそっくりなのが、東京の空を飛んでいたら。
 しかし、今やツマグロは関東全域、どこにでもいる蝶になってしまいました。虫好きの人々も、ほとんど関心を示さない存在に成り下がりました。

 でも、でも、もしかして、ツマグロヒョウモンの美しさを過小評価していませんか。ツマグロの♀は毒のあるカバマダラに擬態していると言われていますが、モデルであるカバマダラと比べても、ツマグロの♀の方が美しいのではないかと思うのです。

 ツマグロヒョウモンの幼虫です。
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 幼虫はカバマダラに負けます。カバマダラの幼虫はマダラチョウ独特の派手な縞々模様ですが、ツマグロの幼虫は、ヒョウモン蝶の地味さを脱し切れていないようです。

 ツマグロの蛹です。
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 もうすぐ羽化します。
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 そして羽化。嬉しいことに♀でした。♀でないと、カバマダラと比べることができないですからね。
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 ちなみにツマグロヒョウモンの♂は、普通のヒョウモンチョウです。
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 それでは、さっそく先日タイで撮ったカバマダラと比べてみましょう。まずは羽の表側。右がカバマダラ、左がツマグロヒョウモン♀です。確かに似ています。色あせたカバマダラと、羽化直後のツマグロヒョウモンの比較なので、フェアではないとも言えますが、縁取りの繊細さなどは、ツマグロの方が見事な感じがします。頭部と胸部は、カバマダラはマダラチョウらしい繊細なデザインです。ツマグロも頭部、胸部まではまねできなかったようですね。
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 次は羽の裏側です。今度のカバマダラは新鮮な個体なので、いい勝負です。白黒の紋の鮮やかさはカバマダラの方に分がありそうです。しかし、ツマグロヒョウモン♀の羽には、鮮やかな紅色が入っているではありませんか。この一点において、勝負は決したと言えるでしょう。結論は、裏表合わせて評価すると、ツマグロヒョウモンの方が美しいということになりそうです。
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 ツマグロヒョウモンをバカにしていた皆さん、今後はツマグロに敬意を持って接するようにしましょう。擬態のモデルを超える美しさを身に着けてしまったツマグロヒョウモン。しかし、擬態効果としては、モデルより美しいというのはどんなものかとも思います。策士、策に溺れるということでしょうか。何だか、ことわざの使いかたが間違っているような気もしますが。

鈴木海花さん飯能引っ越し記念虫捕り会

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 虫愛づる姫君、虫撮る女性の先駆け的存在の鈴木海花さんが、飯能方面に引っ越されました。「虫中心の生活にしたいから」というのが、大きな動機になったようです。昆虫砂漠の都心の生活から抜け出せない虫記者にとっては、うらやましい限りです。
 飯能での生活も落ち着いてきて、虫撮りもますます好調のようなので、ご近所で虫撮りの穴場を紹介してもらおうとメールすると「いいところ、いっぱいあるよ」との返事。
 早速、狭山湖周辺の穴場を探索することになりました。東飯能から狭山丘陵近くの箱根ヶ崎までは、八高線でたった2駅なのです。

 ご主人と一緒に虫捕りに興じる海花さん。夫婦が趣味を共有できるなんて、これまたうらやましい。普通は、全然趣味が合わずに、ののしり合いになるものです。
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 海花さんはかなりのイモムシ好きです。なので、まずはイモムシから。

 ドドーンと迫力ある姿を見せたのは、オオミズアオです。これでもまだ4齢で小さい方です。
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 もう1匹いました。こちらはカメラ目線。撮られていることを意識しているかのようなポーズですね。
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 イラガ系の芋虫も。俺に触るんじゃないと言わん蛾ばかりの姿ですね。言われなくても、触りません。危険な毒虫です。
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 こちらはシャチホコ系。
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 笹の葉の中に隠れていたのは、たぶんコチャバネセセリの幼虫。
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 山芋の葉に隠れているのはダイミョウセセリの幼虫です。
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 葉先からぶら下がっていたのはホウネンダワラ。イモムシに寄生するホウネンダワラチビアメバチの繭ですね。イモムシを食べつくしたあと、こうして繭になってぶら下がります。腹いっぱい食べて、あとはブラブラ。いい気なものです。
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 ほとんどのイモムシを海花さんが発見する中、虫記者もついに一匹、そこそこ見栄えのいいイモムシを見つけました。たぶんナカグロクチバの幼虫です。
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 色々な絵具を水でといた瞬間のような、みずみずしい色彩ですね。

海花さん引っ越し記念虫捕り②フンダマシの造形

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 鈴木海花さんは、かなりのクモ好きでもあります。なので、今回はオオトリノフンダマシから始まります。

 オオトリノフンダマシを撮影する海花さんです。
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 被写体はこれ。まるで森のシャンデリアのような見事な造形ですね。ブランブランぶら下がっている二つの奇妙な物体は、オオトリノフンダマシの卵のうです。その上の枝に張り付いて気配を消しているのが、生みの親。チューインガムの噛みかすを張り付けたように見えますが、近くで見るとクモであることが分かります。
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 ススキのような葉に、もう一匹いました。
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 迫力ありますね。まるでエイリアン。SFの火星人のモデルはこの方ではないでしょうか。

 これもちょっとエイリアン的なイチモンジカメノコハムシの幼虫。
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 トビナナフシもいました。
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 地面をはい回っているのはアオオサムシ。
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 ここまでは、あまり清々しい気分になれる虫が登場してないですね。せっかく秋の観光シーズンになったのに、秋雨前線でジメジメ状態という感じでしょうか。

 気分転換にちょっとかわいい虫を見つけました。ヨツボシテントウです。
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 なかなかに芸術的なアシベニカギバ。
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 そして、ウドの花に集まるミドリヒョウモン。これは美しい。ようやく秋晴れの風景らしくなりました。
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 最後はヤマトシジミの求愛。
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 結局このカップルは成立しませんでした。虫記者がじっとりと見つめていたせいかもしれません。「人の恋路をじゃまするやつは、馬に蹴られて死んじまえ」っていうような気分だったのかもしれません。

 別の場所ではしっかりカップルが誕生していました。
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松の樹皮に化けたシモフリスズメ

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 近所の公園の松林。松の木の幹に、ちょっと変なコブがあります。
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 これだけうまく隠れていれば、誰も気づかないはず。フッフッフ。
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 虫記者も全く気付いていない様子。でも実は分かっているのです。お前はシモフリスズメだ。カシオのエクシリムで、樹皮になり切って息を殺すシモフリスズメと、それに全く気付かないドジな刑事のドラマを撮影してみました。

 ようやく犯人の隠れ場所に気付いた、という演技です。
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 真横から見れば、ほうら、この通り。ススメガだと分かりますね。シモフリスズメは以前も松の幹で見つけたことがあります。どうやら松の樹皮に似ていることを、本人も分かっているようです。
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 近くにカマキリもいたので、エクシリムのレンズ部分を切り離して、上から撮ってみました。

 最初は焦点が人に合っています。
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 カマキリ側に合わせるとこうなります。
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 地面にレンズ部分を置いて撮ると、孤独な虫探しの哀愁をただよわせることができます。
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東京大学のクズにコミスジの幼虫

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 東京大学の本郷キャンパスでは、コミスジをよく見かけます。この日も飛んでいました。
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 では、ここのコミスジの植樹は何なのでしょうか。藤棚が幾つかありましたが、それらしい食痕は見つかりません。

 建物の周囲の土手のようなところに、クズが繁茂していました。もしかすると、これかも。

 探してみると、すぐに、コミスジらしき食痕が見つかりました。彼らの若齢幼虫には、葉脈一本を残して、食べかすの葉をカーテンのように吊るす癖があります。幼虫はその残った葉脈の先端近くにいることが多いですね。スミナガシとか、イチモンジチョウなんかも、似た行動をとります。
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 擬態の一種なのでしょうが、虫探しをする人間にとっては、これほど分かりやすい存在証明はありませんね。

 葉脈の先端の茶色のゴミみたいなものを拡大してみると。ほうら、いました。コミスジの幼虫です。
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 こちらの葉にも、分かりやすい食痕が。
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 やっぱり先端近くに幼虫がいました。
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 クズには、クズノチビタマムシとか、コフキゾウムシとか、いろいろな虫の食痕がありますが、コミスジの食痕は明らかにそれらとは違います。クズでコミスジ探しをする際には、今回の記事を是非参考にして下さい。まあ、そんな暇人は、日本全国に数人ぐらいしかいないでしょう。東大キャンパスには恐らくだれもいないでしょうね。

ご近所の街角にいっぱいいる虫=アオスジアゲハ幼虫

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 ご近所の街角の虫の撮影に挑戦してきました。いえ、いえ、挑戦なんてものではありません。足腰が弱る中、ご近所の街角でお茶を濁したというのが真相です。
 でも、ご近所をバカにしてはいけません。意外や意外、東京都心は深山幽谷よりも虫が見つけやすい。種類は限られますが、いるところにはうじゃうじゃいるというのが、都会の虫の特徴です。

 そして、いつの間にか都会の蝶の代表格にのし上がってしまったのがアオスジアゲハですね。街路樹に食樹のクスノキ、タブノキが多用されているためです。特に東京湾岸には、塩害に強いとか言われるタブノキが多くて、低い所に枝が張り出していれば、アオスジアゲハの幼虫は簡単に見つかります。

 街角らしさを強調して、幼虫を撮ってみました。
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 排ガスだらけの大通り沿いでも、へっちゃらなアオスジアゲハ。タフなやつです。

 アゲハの仲間なので、怒ると臭い角を出します。
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 生息密度の高い都会では、色々なステージの幼虫を一度に見ることができます。
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 2齢ぐらいでしょうか。ボロボロの新芽には、こういうのが必ずいるので、見つけやすい。

 終齢一歩手前の、鬼の金棒のような幼虫です。
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 終齢です。
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 目玉のような模様がかわいい。
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 そしてもちろん、成虫も町中をわがもの顔で飛んでいます。こんなきれいな蝶が街中を飛び交っているなんて、熱帯のようで嬉しいですね。
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ご近所の街角にいっぱいいる虫=アカボシゴマダラ幼虫

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◎ご近所の街角にいっぱいいる虫=アカボシゴマダラ幼虫
 怠け癖が付いて遠出する気になれません。なので、またまたご近所にいっぱいいる虫です。いつの間にか、東京都内どこにでもいる虫にのし上がってしまった外来種のアカボシゴマダラの幼虫です。
 エノキのひこばえや幼木にいるのは、ほとんどアカボシゴマダラの幼虫ですね。冬にエノキの大木の下の落ち葉をひっくり返すと結構、在来種のゴマダラチョウの幼虫もいるので、ゴマダラチョウは高い枝、アカボシゴマダラは低い枝と住み分けているのかもしれません。
 秋口にはまだ、夏型の蝶になるアカボシゴマダラの大きな幼虫がたくさん見られましたが、今頃見られるのは、来年羽化する春型の幼虫です。

 これは夏型の幼虫。こういう街中のエノキの幼木にたくさんいます。
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 そして、今ごろ見られる、越冬後に春型の蝶になる予定の小さな幼虫です。
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 えっ、どこに?。木の枝しか見えないけど?。ボケにつきあっていただきありがとうございます。まずは角だけで登場です。

 顔も出ました。
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 このくらいのサイズのが、体長に比して角が異様に大きくて、一番かわいく、なおかつ格好いいですね。
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 哀愁を漂わせる後ろ姿です。
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 鹿の角のようだと良く言われます。不思議なものですね。かたや哺乳類、かたやイモムシですが、本当に良く似ています。

 鹿は相手を威嚇する時や喧嘩をする時は、角を前方に向けて、突進します。アカボシゴマダラの幼虫も、頭を下げたところを正面から見ると、戦闘姿勢の鹿のように見えます。
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 でも、この鹿のような立派な角の時期は、そろそろ終わりです。越冬に入る幼虫は、みな短くて、見栄えのしない角になってしまいます。越冬するには、この方が体が冷えなくていいのかもしれません。
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 江東区・木場公園の風景です。人々が冬の装いになると、アカボシゴマダラの幼虫も間もなく、枯れ葉とともに地面に落ち、茶色に変色して越冬に入ります。
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ご近所の街角にいっぱいいる虫=トゲトゲとムシクソ

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 今日もトボトボとご近所の虫探し。高齢者の枯れ切った趣味の世界になってきましたね。

 秋と言えばススキの季節。昭和枯れすすきという、虫記者にふさわしい物悲しい歌もありました。でも、ススキを見て、風流や寂しさを感じている暇はありません。ススキにいるハムシと言えば、通称トゲトゲの仲間、クロトゲハムシです。初夏に張り切って交尾しているのを多摩川河川敷などでよく見かけますね。そのころの精力的姿は過去記事を参照
 小さなハムシは夏眠するのが多いですが、クロトゲハムシも夏眠するのかもしれません。真夏には見かけなくなり、秋にまた出てきます。
 これまでご近所、江東区の道端では食痕だけしか見つけられなかったのですが、先日ようやく成虫を確認できました。

 これです。小さいですね。まるでゴミです。
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 近寄ってみると、やはりクロトゲハムシ。すぐに飛ぶので、慎重に近づきましょう。
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 幹線道路と歩道に挟まれた小さな緑の空間です。こんなところで、世代を重ねているとは、かなりのしぶとさと言えましょう。遠くから見ると、どこがトゲトゲなの、という気がしますが、接近するとなるほど。
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 特に頭の近くのトゲは立派です。これで大きい虫だったらすごいのにと思いますね。
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 道路脇のツツジには、いつもの、通称ムシクソこと、ツツジコブハムシがいました。
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 芋虫などのフンに擬態していると言われていますね。どうせ擬態するなら、もう少し品のいいものに擬態したらいいのにと思うのは、人間の身勝手です。

マレーシア・ジャングル放浪記inタマンネガラ⑬

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マレーシア・ジャングル放浪記inタマンネガラ⑬
月16日 
 ◇雨上がりは頭上から落ちてくるヒルに注意
そしてロッジは鉄砲水で流され、昆虫記者は濁流にのまれ、もがき苦しむ。「助けてくれー。ヘルプ・ミー!」。そんな悪夢は、目覚まし時計の音で破られ、朝がやってきた。
「チュンチュン、ピーチクパーチク」。鳥の声だ。天使の調べだ。なんとすがすがしい朝なのだ。悪夢は去った。雨は上がったのだ。
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 見た目に似合わず、きれいな歌声のシキチョウ

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 茶色い羽のカラスといった感じのオオバンケン

帰りの船は午後1時半に出る。川は泥色で増水しているが、渡し船を出せない状態ではない。帰れるぞ。晴れ男の昆虫記者の悪運の強さを甘く見てはいけない。オーストラリアのキュランダも、タイのカオヤイも、連日雨の予報を覆して、晴れ続きにしてしまったではないか。天気運だけはいいのだ。
天気で運を使い果たしているから、金運や愛情運は常に低調なのだが、それがどうした。虫撮りの天気さえ良ければ、それでいいではないか。金が、愛情が何だと言うのだ。「でも金も欲しいし、愛情も欲しいんです。本当は」。
1時半まで、半日。まだ虫が撮れるぞ。雨上がりで、山道はドロドロだろうが、こういう時に木道があるのはありがたい。木道からの虫撮りには、何の問題もない。

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 触覚の先がカーリングのスウィープのようなゾウムシ

触覚がカーリングのスウィープのような不思議な形をしたゾウムシを見つけた。虫が隠れた木を揺らしてみる。すると、上からポトリ。「んっ。何だ。腕の上に落ちてきたのは」。ピョコピョコと尺取虫のように動くぞ。イモムシか。「ウギャー、ヒルだー」。雨の後は、樹上から吸血ヒルが落ちてくることがあるから、上空にも注意せよと言われていたが、本当に落ちてきた。慌てて振り落とす。
 
 ◇ビートルフライとは何者
草の葉の上には、小さなハムシらしき虫。固い上翅が青い金属光沢を放っている。しかし、その顔は、ハムシではない。どうみてもハエだ。しかし、ハエに固い羽はないだろう。
もしかして、これこそは、あのヨロイバエか。英語ではビートルフライと呼ぶらしい。
「鳥だ、飛行機だ、いやスーパーマンだ」と同じ語り口でいけは、「ビートルだ。フライだ。いやビートルフライだ」となる。
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しかし、ヨロイバエそれほど、大それた存在ではない。一度その存在に気付けば、結構いっぱい、あちこちにいる。なにしろハエの仲間なのだ。
羽の付け根にある小楯板という部分が、甲羅のように固く、大きく発達して、まるで甲虫の上翅のようになっている。キンカメムシの仲間の甲羅と同じ作りなのだ。まるで、上羽、鞘翅(しょうし)のようだが、羽ではないので、飛ぶときにこの甲羅が二つに割れて広がることはない。甲羅の下から、本物の羽が滑り出てきて飛ぶらしい。ハエとハムシが合体したような姿。これだから、熱帯は楽しいのだ。

◇天使のトリバガ
まるで天使のような純白のトリバガの仲間もいた。この蛾の羽は、一枚の紙のようではなく、鳥の羽毛のような細い糸で構成されている。こんな羽で、飛べるのか。背中に鳥の羽を付けた天使だ。
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 このまま天上に上っていきそうな、天使のような姿のトリバガの仲間

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 羽は羽毛のような細い糸状のものの集まりでできている


朝食時は、まだ曇りがちで、小雨がパラつくこともあったので、部屋に備え付けの傘を広げてみた。一本骨が折れている。と思ったら、次々に骨が折れて、バラバラになった。うーん、なんか、マレーシアへの信頼がすこし揺らぐなー。そういえば、部屋のセーフディポジット金庫は、機能していなかったし、トイレは流れたり流れなかったり。流れない時は、後ろのタンクを開けて、手動で調整しないといけなかった。うーん。なんだかなー。ちょっと、マレーシアへの評価下げようかなー。
昼食はまた、紙包みのナシレマク弁当。
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 ナシレマク弁当セット

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 こうやって、手に持って食べることができる。

これはやっぱりうまい。テトラパックのような形状で、尖った先を左の掌に入れて、上部を開き、右手に持ったスプーンで食べるというスタイルにすると、立ったままでも食べられて、ジャングルトレッキングの弁当には、便利だ。食べ進むとイカン(辛い干し魚)、塩卵、キュウリ、ピーナッツなど色々おかずが顔を覗かせる。
 
◇暗すぎる西洋人向けホテルに関する一考察
さあ、いよいよタマンネガラともおさらばだ。荷物のパッキングにとりかかる。忘れ物はないかな。最後に電気系をチェック。カメラ、パソコンの充電で、変換プラグとかも使ったから、ちゃんと指差し確認して、調べないと。
すると、ドキッ。やっぱり忘れ物。なんと、充電を終えた携帯電話がコンセント脇に置き去りにされているではないか。やっぱり黒っぽい携帯はだめだなー、見つけにくい。なんてことより、問題は、部屋が暗すぎることだろ。なんで、海外のホテルの部屋はこんなに暗いんだ。ほとんど間接照明ばかり。これじゃあ、本も読めないし、メモも取れない。わざと忘れ物をさせようとしているのか。
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何か知らないけれど、欧米では家の中の照明はインテリアの一部であって、家具とともにムードを醸し出すものなのだそうだ。それに対して、日本の照明は、明るくてなんぼ。活動しやすい明るさを求めて、ピカーッと明るい照明を部屋の中央の天井に付けるのだ。文化の違いなのである。
そして、欧米人は日本人より、まぶしさに弱い。日本のような部屋の明るさだと、快適というより、逆にまぶしすぎ、と思うらしいのだ。瞳の色が薄い欧米人の目は、まぶしい光や紫外線に弱い。だから、サングラスが欠かせない。特に青い目の人は、光に弱いらしい。そういう健康上の理由があるなら仕方がないとは思うけれど、それなら、明るさを調整できるライトとかにして、各国民平等の扱いにしてほしいと思う。ムードだけのために、暗くするのはやめてほしいものだ。虫撮り旅行にはムードはいらないのだ。
それに、ここはアジアだぞ。なにも欧米基準に合わせることはないじゃないか。と言っても、客のほとんどは欧米人だから仕方ないか。
あまりにも暗いので、最近はホテルにデスクライトを持ち込むようになった。荷物が増えて困るのだが、これがないと、昆虫記者の仕事もやりにくいのだ。

マレーシア・ジャングル放浪記inタマンネガラ⑭完

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マレーシア・ジャングル放浪記inタマンネガラ⑭完
月16日続き
◇帰途・美女の首筋に入れ墨の蝶
 
帰りの渡し舟と送迎バスで一緒になったのは、アルゼンチンからやってきたという妙に女子力の高い女性人組。行きも帰りも、なかなか運がいいぞ。しかし、アルゼンチンからなぜこんなマレーシアの奥地にやってきたのか、訳が分からない。でも、そんなことはどうでもいい。例によって、半パン、タンクトップというジャングルにはそぐわない姿だが、一緒にバスに乗るのに文句を付ける理由はない。むしろ感謝したいぐらいだ。
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 未明までの豪雨で川は増水し泥色

 人の中で特に目を引いた女性がいた。仮にモニカとしておこう。モニカは、体中に入れ墨をしているのだ。腕にも、足にも、背中は一面に。植物や蝶をあしらった、なかなかに素敵な入れ墨で、その圧倒的な量にもかかわらず、女性らしさを全然損なっていないのだ。
もしかして、ペインティングかと思ったが、ジャングルで汗をかいたら、すぐに滲んでしまうだろうし。本当に入れ墨なのか、聞いてみてもいいものだろうか。もしかして、マフィアのボスの愛人だったりしたら、昆虫記者の命がないのでは。でも女性人のバカンスだから、マフィアではないだろうと、楽観的結論を出す。
恐る恐る聞いてみた。「それ、ペイティングですか」。モニカは、「ノー、ノー」と言った後、しばらく考え込んだ。一体何を、考えているんだ。この変な日本人を生かしておいていいのか、半殺しにすべきか。やがて、モニカは「タト?タツ?…」とか訳の分からないことを言い出した。少なくとも、ファック・ユー(むかつく)とか、キル・ユー(殺す)とかは言っていないようだ。それともスペイン語で「殺す」と言っているのか。
 
◇いつまでも君を忘れない
そし思い当たった。「タトゥー?」と聞くと、「オー・イエス・イエス。リアル・タトゥー」。そうなのだ。モニカはあまり英語が得意ではないのだ。入れ墨の英語「タトゥー」がすぐに出てこなかったのだ。
「とてもきれいですね」「ありがとう」。片言の英語での会話が続いた。モニカの入れ墨の中でも、昆虫記者が特に気に入ったのは、首筋に入った蝶だった。モニカの美しい横顔、紫色に染めた髪に、羽ばたく蝶の姿が映える。
舞い上がってしまった昆虫記者は、昆虫のイラスト入りの名詞を差し出して、「その蝶の写真撮ってもいいですか」と尋ねる。声が震えている。「もちろんオッケーよ」と言って、紫色の髪をかき上げてくれた。女性の首筋の写真など撮ったことはない。本物の蝶を撮る時よりもドキドキしながら、シャッターを切った。
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 美女の首筋に蝶。生きた蝶だろうと、入れ墨だろうと、これを撮らなければ、昆虫記者の名折れだ。

昆虫ブログとか、ツイッターとかに、写真をアップしてもいいですか。「もちろんオッケーよ」。モニカはいい人だ。たとえマフィアの愛人であって、今回の一件で、昆虫記者の命がボスに狙われても構わないという気になる。まあ、そんなことは絶対ないと信じたいが。
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 こんな美しい入れ墨を見たのは初めてだ。しかも全身。しかも美女。入れ墨は怖い印象があったが、こんなに美しく、魅力的にもなるものなのだと、初めて気づいた。


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 脚にも所せましと描かれた芸術的入れ墨。これだけで恋に落ちても不思議はない。

旅は、まさに一期一会。アルゼンチン1の入れ墨美女に、地球の反対側のマレーシアのタマンネガラで出会うなんて。
きっと二度と会うことはないだろう。アルゼンチンに虫撮りに行く資金なんてないし。でも、もし虫仲間のだれかが、アルゼンチンに行って、ブエノスアイレスの街角で、首筋に蝶の入れ墨を描いた紫色の髪の彼女に出会ったら「昆虫記者はいつまでも君を忘れない」と伝えてほしい。なーんちゃって。格好いいなー。そんなこと、一度言ってみたいなー。
そんな馬鹿なことを考えているうちに、送迎バスはクアラルンプール市内にさしかかった。遠くにペトロナスツインタワーが見える。
送迎バスは、行きの始発地点だった高級ホテル「イスタナ」に向かっている。でも、高速列車のKLセントラル駅で下してもらえれば、楽に帰れる。運転手に頼んでみると、「渋滞がひどくなければ、寄れるかもしれい」との答え。結構渋滞はしていたのだが、結局それでも、KLセントラル駅で下してくれたのだった。
「ありがとうございます。マレーシアに感謝です。色々文句も言いましたが、やっぱりマレーシア人はいい人たちです。マレーシアはいい国です」。絶対また来るぞマレーシア。いい人が多いし、ナシレマクはおいしいし、虫はいっぱいいるし。

最終回のついでに、載せきれなかった雑多な写真の中から一部を紹介します。

灯火に来たアミタオンワモンチョウの♀です。灯火に来た蝶は逃げないので、簡単に手で捕まえらるのがいいところ。
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 シロコフキコガネの仲間。
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 熱帯のコメツキは色鮮やか。
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 タケノホソクロバ的姿なので、毒がありそうに見える。
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 常連の黄色いサシガメ
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竹藪に必ずいるスタイリッシュなカメムシ
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アワフキの仲間色々
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ハムシの仲間色々
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 コメツキモドキの仲間
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 金色のハエトリグモの仲間
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 最後はいつもの、ナメクジ的カタツムリで、ねっとりと余韻を残して終わります。
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久々の遠出は金沢文庫から六国峠

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 車を廃車にしてから、近所でお茶を濁すようになって、あまり遠出をしなくなりました。これではいかん。思考回路は鈍るし、足腰は弱る。どこか新し虫探索コースを開拓しなければ。
 ということで、京浜急行に乗ってやってきました金沢文庫。ここは虫記者が勝手に「横浜・鎌倉昆虫バイパス道路」と名付けたハイキングコースの入口です。正式には六国峠ハイキングコースと、鎌倉天園ハイキングコースで、二つを合わせると10キロに及ぶ長大なコースになります。
 車を利用していた時は、いつも高速道路直結の金沢動物園の駐車場が出発点だったので、金沢文庫近辺まで足を延ばすことはありませんでした。
 そこで今回は、未踏破の金沢文庫側入り口を探索し、馴染みの金沢自然公園「ののはな館」で折り返すことにしました。
 金沢文庫駅から10分ほど歩くと、六国峠コースの入口に到着。
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 「ええーっ、これがハイキングコース入口なの」という感じの、鎌倉周辺のハイキングコースによくありがちな、普通の街角的な入り口でした。標識がなかったら、絶対に見逃してしまいますね。
 近くに車が止まっていたりすると、木の「六国峠入口」の標識は見えないこともあります。交通標識のような、青くて背の高い、金属板の標識に注意しましょう。

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民家脇の階段から、ハイキングコースが始まります。

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 階段を上り切るとようやくハイキングコースらしくなります。

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 六国峠コースの最初の部分は能見堂ハイキングコースと言うようです。途中には昆虫広場なるものもあるようで、なかなかに昆虫フレンドリーなコースのようです。
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 越冬前のアカボシゴマダラの幼虫は、たいていこの水泳の飛び込みのような姿勢でじっとしていますね。
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 何だか「時間よ止まれ」の掛け声で、飛び込みの瞬間に停止させらててしまったような姿。こんな姿勢で苦しくないのでしょうか。
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 能見堂跡に到着。室町時代から明治初めまで、能見堂と呼ばれる寺院があったようです。
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 能見堂跡から右手に少し下ると谷津関ヶ谷不動尊という小さなお堂があります。
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 そこからさらに下ると、不動池。
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 池の周囲で寒さに震えていたアオマツムシ。もう11月ですから、最後の雄姿ですね。
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 相変わらず人相、虫相が悪いです。
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 コースに戻ると、タイワンリスが待っていました。見た目は可愛いですが、害獣とされています。犬みたいな全然可愛くない声で吠えているのをよく耳にしますね。
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 コースの土留め板にヒナカマキリの卵鞘を発見。非常に小さいです。
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 どれくらい小さいかと言うと、これくらい。親指の爪先と比べてみました。
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 もう一つありました。
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 高速道路の下をくぐると、今回のゴールはもうすぐです。
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 アカスジキンカメムシの幼虫もそろそろ越冬準備。
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 なつかしい、金沢動物園の高速道直結の駐車場です。
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 そして「ののはな館」。ハイキングの途中にこういう立派な休憩施設があるのはありがたいですね。ののはなカフェでは軽食も食べられます。
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 ここは日当たりがいいので、成虫越冬する連中が顔を見せてくれます。

 オジロアシナガゾウムシ
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 キタキチョウ
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 ムーアシロホシテントウ
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 オオホシカメムシ
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 もうすぐ最期を迎える虫たちの姿も

 ショウリョウバッタモドキ
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 オオスズメバチ
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     カラムシの葉を巻いた中にはアカタテハの幼虫。成虫越冬するはずですが、これから蛹になって羽化が間に合うのか心配です。
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ご近所の街角の虫=クチナガチョッキリ

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 ご近所の街角の虫=クチナガチョッキリ

 東京・江東区のご近所。幹線道路沿いの雑草の茂みにクチナガチョッキリがいました。アオツヅラフジという雑草の実が好物です。この雑草は意外にしぶとく、都会の生垣を這い上っていたりするので、クチナガチョッキリもしぶとく都会に生息しているというわけです。
 1匹のメスをめぐって2匹のオスが争う構図のようです。
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 交尾しているところに割り込んでくるなんて、人間ではちょっと考えられない三角関係ですが、虫では日常茶飯事ですね。

 2匹のオスは組んず解れつしているうちに、共倒れとなって下に落ちていきました。しかしメスは何事もなかったように、食事に専念しています。女は強く、男はみじめですね。
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 ついでに、いつもフヨウの葉にいるイモムシです。フタトガリコヤガという蛾の幼虫らしいです。幼虫はわりときれいで目立つので、しょっちゅう見つけるのですが、成虫は地味な蛾なので、いつも見過ごしているに違いありません。
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越冬前、秋の虫風景

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 今回は、最近目撃した秋らしい虫風景をささっとまとめます。息子が学校の宿題に追われて、パワーポイントの入った親父のパソコンを使わせてくれ、と言うので、本当にささっとまとめます。
 まずは、秋らしく色づいた柿の木にハラビロカマキリ。
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 柿の実と言えば、タテハが付きものですね。柿の木の下にいたキタテハです。
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 そしてルリタテハ。
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 セイタカアワダチソウの花畑には、ヒメアカタテハが山ほど。ヒメアカタテハは関東では成虫越冬できないとか言われていましたが、最近はどうなんでしょう。これだけ暖かいと、越冬するかもしれませんね。
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 ジンガサハムシも木の葉の裏でじっとしていたので、そろそろ越冬態勢でしょう。
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 ダイミョウセセリはもうすぐ前蛹で越冬。
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 コミミズク幼虫はまだ緑なので、葉柄に擬態していましたが、冬には茶色くなって、枝先で越冬するのでしょう。
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秋こそ秋ヶ瀬の虫散歩

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 秋だからと言うわけではありませんが、久々に埼玉の秋ヶ瀬公園に行ってきました。
 荒川の土手に囲まれた秋ヶ瀬は、晩秋でも日差しがあれば、ポカポカ陽気。まだまだ虫たちでにぎやかです。
 ギシギシの葉にシロヘリクチブトカメムシの姿を発見。この季節、ギシギシの大きな葉は、色々な虫の隠れ家になっていて、肉食系カメムシにとってもいい狩場なのでしょう。
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 ギシギシの新芽にとまったのはベニシジミ。卵を産みにきたのでしょうか。早春にあのピンク色のコロコロした幼虫が出てくるのが楽しみです。
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 ギシギシの葉裏では、ヒメジュウジナガカメムシが集団越冬の準備に入っていました。
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 ギシギシ葉裏の常連と言えば、ハグロハバチの幼虫。青色の発色のいいのを選んで撮影。ハバチの幼虫はどれも顔がかわいい。これがハチになるとはとても思えませんね。
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 セイタカアワダチソウやセンダングサの花には、まだまだ蝶がいっぱい。

 ヒメアカタテハ
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 モンシロチョウ
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 キタキチョウ
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 ウラナミシジミ
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 ツマグロヒョウモン♂
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 モンキチョウ
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 成虫越冬するツチイナゴが元気なのは当たり前ですが、
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 トノサマバッタもまだまだ元気です。
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 バッタが元気なら、当然バッタを狙うカマキリも元気です。
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 ハムシでは、ヨモギハムシが繁殖行動のまっさかり。あちこちで交尾カップルがみられます。
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 このヨモギハムシのカップルの隣にある肥溜めのようなものは、小さなヨモギハムシの仕業ではありません。
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 「俺たちがやったんじゃないよ。濡れ衣だ」と叫んでいます。
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 犯人は同じヨモギを餌とするヒメアカタテハの幼虫。

 こんな隠れ家を作って、狭くなったり、糞だらけになったり、住み心地が悪くなると引っ越していきます。
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 これが肥溜めを作ったヒメアカタテハの幼虫。
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 ハムシでは久しぶりに、ウリハムシモドキに会いました。ウリハムシとクロウリハムシの中間のような姿です。
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 こちらがクロウリハムシ。若干似ています。
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 クコには、まだトホシクビボソハムシが群れています。トホシのくせに星のないのばかりですね。
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 そうなると、意地でも10個の星のあるのを見つけたくなるのは、人間の性ですね。そして、意地で見つけました。これでこそトホシです。
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 アカスジキンカメムシは、終齢幼虫で越冬します。そろそろ、メタセコイアの幹を下ってきて、越冬場所を探すのでしょう。
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 ブチヒゲカメムシはたぶん成虫越冬。
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 クヌギの木で産卵場所を探しているのはクヌギカメムシ。
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 クズの葉裏で、さっきより大きなヒメジュウジナガカメムシの越冬集団を見つけました。
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 電柱脇で休憩していると、電柱を越冬用の立ち枯れの木と勘違いしたテントウムシがたくさん飛んできて、まとわりつきますね。
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 最後に登場したのは、強烈毒虫のアオバアリガタハネカクシ。体液に触れると、水膨れやミミズ腫れになるので、要注意です。でも、こんな小さな虫なので、注意しようがないですよね。水膨れになっても、命にかかわることはないし、最近は見かけることも少ないので、別に注意しなくてもいいです。
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 秋の日はつるべ落とし。虫を探している間に、あっという間に日は傾き、ススキ原が夕日に輝いていました。なんと風流な一日なのでしょう。
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大町観察園にキノカワガが必ずいる謎が解けた

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 いよいよ12月。冬ですねー。冬は探す虫が限られるし、探される虫の方は、たいてい誰にも見つからないように身を隠して越冬態勢に入っています。それを暴くのが、冬の虫探しの醍醐味ですね。
 まずは定番のキノカワガを探しに行きました。普通は狙って探しに行って簡単に見つかるような相手ではないのですが、これまでの経験から言って、絶対に外れがないのが、千葉県市川市の大町自然観察園です。なぜここで必ず見つかるのか、不思議に思っていたのですが、最近謎が解けました。
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 最初に見つけたのが、この子。やはりシデの幹にいました。しかし、この写真では「いったいどこにいるんじゃい」という感じですね。

 ここは梨園に囲まれているのですが、梨の直売所を覗いてみると、もはや梨があるはずはなく、柿ばかりが並んでいました。そうなのです。きっとこのあたりは、梨とともに柿もたくさん生産しているに違いないのです。そして、キノカワガの幼虫の食樹を調べると、何と、カキノキ科のカキとなっているではありませんか。そして、昆虫記者の経験上、越冬の際に好む木の一つとみられるシデの木がこの公園には多い。

 そして今年もやっぱりシデの木にいました。ちょっと高いところだったので、まずは最初の遠目からの写真になりました。

 ズームアップすると。
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 2匹目は、ちょうど目の高さぐらいにいてくれました。
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 しかし、なんと地味なやつなのでしょう。どんなに苦労して撮っても、全く見栄えがしませんね。

 だから通行人も誰も気が付かないし、その写真を撮っている虫記者は木の幹に生えた苔のようなものを必死で撮影する一般人には理解不能なマニアック研究者と思われていることでしょう。

 そして3匹目。2匹目の隣の木にいました。このあたりが、一番見つけやすい場所です。
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「お前さん一体何撮ってんねん」。瀕死のハラビロカマキリにまで、不審の目で見られてしましました。
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普通の人は、シデの木の苔みたいなものでなくて紅葉とか撮るものです。
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水元公園にカンムリカイツブリ

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 そろそろ冬鳥の季節ということで、水元公園へ。
 金町からバスで水元公園下車。公園へ向かう途中は、無料の釣り堀のような風景です。すさまじい数の釣り人がいますが、魚が釣れる気配は全くなし。「当たりも全然ないよ」といったボヤキも聞こえてきます。
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 何か釣れたらおこぼれにあずかろうと、アオサギやコサギが、釣り人の後ろで待っていますが、ちょっと退屈気味。「いい加減に何か釣ってくれよ」と言いたげですね。
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 公園に入ると、上空をカモメが大量に飛び回っています。
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 池を占拠していたのは、ヒドリガモの群れ。
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 少数派のマガモ、カイツブリは肩身が狭そう。
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 カワセミも飛んできました。遠くて暗かったので、ボケボケですが、冬の数少ない色味ということで許して下さい。
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 そんな中に、カンムリカイツブリが3羽いました。頭の毛が逆立って、バットマンみたいでちょっとカッコイイですね。
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 足の指の間にヒレがあるカモとはちがって、指の周囲が広がった弁足を使って、スイスイと泳ぎます。

 弁足が見たいなと思っていたら、水中から突き出してくれました。まるでお尻の先に付いたスクリューのように見えますね。でもスクリューのように回転はしません。
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ツマグロヒョウモンは実は青い蝶だった

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 冬になると、パンジー、ビオラなど三色すみれの仲間が花壇の主役として登場してきますね。葛飾区の水元公園の花壇も、植えたばかりのパンジーに彩られていました。
 この季節になれば、もう害虫もほとんどいないので、園芸家も安心と思ったら、大間違い。しぶといツマグロヒョウモンが「パンジーが植えられるのは今か今か」と待ち構えているのです。
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 水元の花壇にも、ツマグロのメスが3匹ほどやってきて、せっせと産卵していました。
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 産卵の様子を撮っていて、突如気付いたのです。「オオッ、この青い輝きは何だ」。ツマグロヒョウモン♀のツマグロの部分、つまり、通常は黒と認識されている部分が、日の光の当たる角度によって、青く輝いていたのです。
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 これはなかなかに美しい。青い蝶と言ってもいいくらいです。
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 そんな虫記者の感動にはお構いなしに、ツマグロは次々と卵を産んでいきました。この花壇も春にはボロボロになるのでしょう。でもその頃には、また春の花に植え替えですから、ツマグロの幼虫はどこへ放浪の旅に出かけるのやら。
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 卵を確認しました。
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 ツマグロ以外の虫は大半が、一年中見頃のカメムシ。ここは特に外来のキマダラカメムシが多くて、トイレの壁には必ずと言っていいほどキマダラカメムシの姿が見られます。
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 その他のカメムシたちです。
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 すると、足元に変なものが。「うわっ、ヘビ」。
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 と思ったら、何のことはない、サイカチの実でした。サイカチはこんな変な形の実をつけるんですね。上を見上げると、空から、たくさんヘビがぶら下がっています。
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 集めてみました。何か汚いもののようにも見えます。
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 実は大きいのに、種はこんなに小さい。
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 サイカチと言えば、この痛そうなトゲが有名。
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 カブトムシが来る木としても知られていますね。来年の夏は探してみます。

矢切の渡しでクヌギカメムシの愛を見た

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 つれて逃げてよー♬、ついておいでよー♪。矢切の渡しのメロディーのチャイムが流れる北総鉄道の矢切駅。虫記者がこんなところで下車して何処へ行こうというのでしょうか。いい歳して、愛の逃避行でもあるまいし。
 実は、この駅の近くには、市川市の「水と緑の回廊」という、虫撮りのためにつくられたような散策コースがあるのです。
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 一度に全部回るのはしんどいコースなので、今回は半分だけに。まずは駅から10分ほどの「じゅんさい池公園へ」。モミジの紅葉が見事です。
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 池には、マガモ、カルガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロなどの水鳥が多いので、バードウォッチャーがたくさん来ていました。一度オオタカが飛んできて、人々はかなりの興奮状態になりましたが、結局オオタカは上空を旋回しただけで去って行きました。
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 ぬいぐるみのようにかわいいエナガの姿も多く見られます。
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 顔面が縞模様のシャクトリムシがいました。名前は不明です。
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 池の周囲のクヌギの木には、交尾中、産卵中のクヌギカメムシがいっぱい。カメムシは匂いで仲間を呼ぶのか、同じ場所に集合するケースが多いですね。この日も一本のクヌギに10匹ほどが集まって、愛の行為を繰り広げていました。

 交尾中のカップルです。まさに矢切の渡しのシーンですね。切っても切れない、お尻でつながった究極の愛の形です。
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 産卵中の♀の姿を一度にこんなにたくさん見たのは、これが初めてです。やはり、出産シーンを見られるのは恥ずかしいのか、クヌギカメムシは、なるべく深い樹皮の割れ目を選んで、体全体を割れ目の中に隠すようにして産卵します。
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 この割れ目は特に人気のようで、すごい数の卵が産みつけられていました。生みの親は1匹だけではないでしょう。
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 卵には例の「毛が三本」的な突起。受精孔突起とか言う、卵が呼吸するための管みたいなものです。
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 樹皮の割れ目での産卵は、母親の密やかな愛の行為です。邪魔してはいけませんね。なんて言いながら、グイグイとカメラのレンズを近づけていく虫記者です。もっとよく卵が見たいと、母親にちょっかいを出したりも、してしまいます。
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 人間の♂は、こうした出産シーンに生命の神秘を感じてしまうのですね。そのくせ、立ち合い出産なんて、恐ろしくてできないというのも、また♂なのです。
 長くなってきたので、水と緑の回廊の続きは次回に。
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